NEWS考 ストがそんなに悪いのか?FNNスーパーニュースWEEKEND '091102
あまり信用が置けないので日テレとフジのニュースは普段からほとんど観ないのだけれども、日曜日の夕方、たまたま食器を洗ってる最中にフジの「FNNスーパーニュースWEEKEND」がついていて、UKの郵便局のストのニュースを放送してた。
ニュースのテーマは「英国郵便ストライキで中小企業が大混乱」だった。
UK国営郵便公社・ロイヤルメール(RM)が長期のストライキに入っていて(実際は断続的)、RMに配達を頼っている中小の企業が、荷物いの発送にに困っているとの内容。年間郵便物の半数が集中するクリスマスシーズンを前にして、不安が広がっているというものだった(※1.)。
確かに郵便局のストは困るだろう。しかし、「FNNスーパーニュースWEEKEND」は英国のTV局か通信社の映像を流しながら「中小企業は困っている」というコメントのみを伝えて終わった。これが報道と云えるだろうか?
何も「ストは労働者の権利である!」と正論を吐き、この時間合わせの片手間報道を声高に非難するつもりはない。確かに公共事業のストは多くの利用者の迷惑となる。ストはやらないに越したことはない。しかし・・・ボクはこの報道姿勢にがっかりし、残念な思いに至ってしまった。
企業とそこに働く労働者の間には雇用関係が成立している。労務には、使用者と労働者の間で待遇などについて話し合う義務と権利がある。なぜ、RMの労働者がストに突入し、止めないのか?その原因をなぜ「FNNスーパーニュースWEEKEND」は追及しないのか?ただ利用者が困る、というだけでニュースになるのか?これでは「仕事もしないでストしてる労働者たちが悪い」というイメージを植え付けるだけだ。
ここで思い出すのは、かつて日本で起きた「国鉄解体」だ。'87に旧国鉄は分割され民営化された。あの頃の日本は「国鉄は赤字を貯め込みすぎた。組合がストばっかりしたためだ」という風潮だった。しかし、あれは本当にそうだっただろうか?「あなたの街に線路が伸びます。この駅に急行が停まります」と云って、過疎地に線路を建設し続けたのは当時の自民党政府であり、鉄道建設公団に作らせ出来上がった路線を否応なく国鉄に経営させて赤字を垂れ流しさせたのも、自民党政府だったのではないだろうか?それは各地に空港を造り、JALに路線を就航させて赤字化させたのと似ていないか?
今、RMにどんな問題が生じているのか?これは現在のRMの約10%の経費をカットすることを目指したもので、その中には地方局の統廃合や人員の整理も含まれており、ロイヤルメールの労働組合である通信労働組合(The Communication Workers Union=CWU)は受け入れられないとして、組合員に対してスト権投票を実施し、大多数の支持を得てストに突入したのだ。
RMにもCWUにもそれぞれ言い分はあるだろう。それを解決するためには知恵と時間と忍耐が必要だろう。このストはその「時間」を伝えているが、「知恵」を伝えていない。事実だけを伝えるだけなら、映像を垂れ流しすればいい。しかしそれを仮にでも「NEWS」と呼ぶのであれば、多少なりとも事実に基づいた調査や論評を語るべきだろう。
フジテレビの職員がどんな労働環境にいて、いくら給料をもらっているかは知らない。「FNNスーパーニュースWEEKEND」という番組がどんな企業や団体が提供しているのも知らないが、フジテレビだって経営危機が未来永劫来ないとは誰も保証できない。その時になってフジテレビの職員はストをしないだろうか?フジテレビでもアナウンサーたちがストをして、管理職になった元アナウンサーがニュースを読む日が来るかもしれないではないか?その時になって、他のメディアで「フジテレビの社員はストばかりしていて、視聴者のことを考えていない」と云われたら、どんな思いをするだろうか?
「スト=迷惑」という、天に唾するような浅はかな報道だけは、改めてもらいたいものだと、思ってしまった秋の日曜日の夕方だった。
※1.ニュースでは、なぜ中小企業が「大手民間の配達会社に依頼できない」理由を述べていない。日本では企業の大小を問わず、ヤマト運輸とか佐川急便などに発送配達を頼むと思うが、UKでは企業の規模で民間の運輸会社に依頼できないのだろうか?

