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2009年6月15日 (月)

映画録 REDACTED / リダクテッド 真実の価値 '090615

ブライアン・デ・パルマ監督の、と云うよりも、USの世襲坊主・ブッシュがいちゃもんをつけて始めたタダレタ戦争・イラン侵攻の内幕を描いた「REDACTED / リダクテッド 真実の価値」を観た。

あえて「編集する」とタイトルした監督の意図は何だろう。「伝えられる情報はすべて手が加えられている」という暗喩だろうか?

信じるな、自分の目で見ろ。 』 ・・・チラシの宣伝コピー・・・

国の方針の成否などを考えたこともなく、ただ自ら生活のために従軍し、他国を侵略する。その地域の文化も歴史も習慣も理解しようともせず、ただじりじりと照りつける太陽の下、ヘルメットに分厚い手袋や防護服に身を包み、蒸し風呂の中のように汗を流す。銃を抱え、住民を見張り、車から住民を引きづりだし両手を挙げさせ、車の中の荷物をかき出し、住民が理解できない言葉で尋問を呪文のように繰り返す。そこには“コミュニケーション”の欠片もない。

この映画に描き出された風景は、多分かなりの部分で本当のことだろう。そこには、世界平和を背負うなどという志など皆無、国を守るという信念など初めから存在しない。そこにはただただ帰国への待望=仕事の終りと住民への蔑視があるのみ。その余りの救いのなさに観客は唖然とするだけだ。

そして、この映画で描かれているエピソードの一つひとつは、次第に壮大な虚無と化して行く。どの国がどんな理由で侵略され、どう政権が倒され、誰が逮捕され、何人の女たちが犯され、どの家族が殺され、どの建物が壊されても、そして兵士が殺されようとも観客はただただそれを眺めるだけ。
映画の中の若い兵隊たちの罵詈雑言も、嘆き哀しむ住民たちの声も、兵士の爆死も、ただただとるに足らない事実になって消化され忘れられて行く。

かつて初めて道具を握って敵に打ち下ろし“権力”を知った猿は、今も相変わらず殺し合っているだけだったと云う現実。
ただ違うのが、殺せ、犯せと云う指示は、戦場から遠く離れた街のクーラーが程よく効いた部屋で、ブランド物の三つ揃いスーツを纏い、税金の使い道と懐への入れ具合と自らの名誉欲だけが大切な“唾棄すべき奴ら”によって、まるでチェス盤を闘わせる様に遠まわしな美辞麗句によってひねり出されているということ。
そして、それをこれっぽっちも信じてもいないくせに、ただ金儲けのためだけに「同盟国」が戦場にした異国に、これまた志ではなく生活のために派遣される兵隊がいて、やはりそこには住民の税金が湯水のように費やされて行く。

喜びも感動も楽しみも同情も何もない、ただ観客にこの世界の空しい現実を突きつける映画。でも観終わった観客の大半は戦場から遠く離れて、今日の夕飯のことや子供の進学のことを思い、騙されたり殺されたりするニュースを観たりするんだろう。明日殺される側に居るかもしれない現実の中で。

もしかすると、デパルマはUS国民やUSの同盟国の住民に「あの国で我々はこんなことをしているんだよ」って告発する映画を作ったのかもしれない。けど、ボクだけじゃなくて、「もう知ってるよ」ってみんなが改めて空しく確認する映画になっている。ボクらはあの国をみんなで苛めているってこと。

誰かがイラン侵攻の真実を告発したとしても、きっと「それは捏造(=編集)された情報に過ぎない」と反論され、非難されるだけなのだろう。

国際政治的イジメを映画化したと云う意味で、これはとんでもない怪作だと思う。デパルマ、この世の中に生きていてボクも哀しいよ。

日本の自衛隊がいたサマワはまったく戦闘がなく、だから軍隊が駐留する必要性が低く、かつ地元の要請もなかった。自衛隊はサマワの住民に多額の賃貸料を払って駐留させてもらっていた、と云う事実も、悲しい偽善の一つに過ぎないのか。

土曜日の昼、新文芸坐は今日もそこそこの入り。

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