微さやかな旅 難波駅から '090630
週末に出張が終わった時など、そのまま何処かに行きたくなる。先日関西への出張が金曜の夜に終わった際に、ボクはどこかに行く訳ではなく、途中愛知県の実家に寄ることにした。
近鉄特急「アーバンライナー」は、地下の近鉄難波駅から出る。阿波座駅から地下鉄千日前線でなんば駅に着きB3FからエスカレーターでB2Fに上がり右奥に進むと、近鉄難波駅の切符売場があった。19:00発のアーバンライナーに乗りたかったが、わずかに間に合わなかった。19:30発の特急もあるが、こちらは途中に大和八木、名張、白子、四日市、桑名などの主要駅にも停まり、所要時間は141分。20:00発のアーバンライナーは、津駅に停まるものの129分。12分違う。明るいうちなら途中駅の乗降の風情を感じるのもなかなかの趣向だが、出張疲れの身にはノンストップに近いアーバンライナーが心地よい。しかも20:00までの僅かな時間を、数年ぶりの難波をちょっぴり楽しみたい。沈滞著しいとの噂は本当なのか?猥雑な大阪は顕在なのか?列車内の夕食も見つけたい。近鉄の窓口で20:00発のアーバンライナーのチケットを購入した。
「すんません、現金だけなんですわ」と駅員の声。
「?」・・・クレジットカードを差し出したボクは一瞬思考停止に。そうなのだ、近鉄の窓口はまだカード対応出来ていなかったのだ。この事態は何だ?数千円は持ち歩いていたのでホッとしたが、東京では日常的に1000円以上の買い物で現金を使うことなどない。近鉄のこの前時代的な状態に少々びっくりしたが、この駅員のせいではない。もう少し早い時間なら隣の近ツー(近畿日本ツーリスト)で購入したらカードは使えただろうし。
乗車券・難波-名古屋間\2,300、特急券・\1,850=合計\4,150也。これがJR東海ののぞみだったら、乗車券・大阪-名古屋間\3,260、特急券・新大阪-名古屋・自由席\2,410=合計\5,670になり、差額は\1,520になる。もちろん、JR東海・のぞみと近鉄・アーバンライナーでは、大阪-新大阪間の在来線利用の乗り換えを考えても所要時間に倍の開きがあり(※1.)、急ぐ場合は選択は自ずと「のぞみ」になるのは明白。しかし、今日は久しぶりの出張の帰り。今夜中に実家に帰って親の顔を見、風呂に入って寝るだけだ。急ぐ旅ではない。しかも、新幹線にはこれまでうんざりするくらい乗ったのだ。夜の特急で車窓は見えないまでも、たまには近鉄の旅もいいではないか。たぶん青山トンネル辺りは深い眠りに入っているだろうが・・・
エスカレーターでB1Fに上がると、そこは難波駅の地下街が広がっていた。ウィークエンドの会社帰りの人々なのか、大勢の人々が往来している。電車の中で食べる夕食を探しに地下街を南海難波駅方面へ向かう。キャスターを引いているので通行人にあたりそうになる。そしてNANBAなんなんの飲食街へ。喫茶店やそば屋やラーメン屋はあるが、持ち帰り的なお店はない。う~ん、一番奥まで進み、無印良品の入ったビルに入る。地下は無印の食堂になっていてそこそこ流行っていた。洒落た学食のような風情だ。地上に出て街を進もう。地上に出るとそこはもう雑踏の中。パチンコ屋や飲食店の渦、難波中2の交差点を右折して南海のガードをくぐる。ミナミは健在ではないか。左の路地の奥に餃子の王将の看板が見えた。そうだここは王将で満腹にして特急の中は酒にするか。
「ごめん、電車出ちゃうからオーダー流して」「あ、どうもすんません」
王将のカウンターに座って10分・・・大混雑の店ではなかなか餃子は来なかった。二度焼き上がる餃子たちを見たが、それはボクより前の注文の品で、ボクの餃子は今から焼きに入るところのようだ。でももう手遅れだ。お店や店員が悪いのではない。絶え間なく客は出入りし、店員たちは必死に料理を作り客に出していて、その間も電話の注文を聞き、帰り客の清算をしている。ボクの来店のタイミングが悪かったのだ。たぶん一日で一番混む時間に来たのだ。すまなそうな顔の店員に愛想笑いを送って店を出た。
まずい、あと20分で特急が出る。ボクは少々焦りながら高速道路下を難波中の交差点へ。その角にとんぺい焼きの店があった。2種類を頼んで「ちょっとそこのファミマで酒買ってくるからその間作ってて」「ハ~イ」と声を交わしてファミマにダッシュ。キリン・一番搾り500mlとおーいお茶500ml、そしてアイスクリームを購入して先ほどのとんぺい焼き屋へ。若い男女が汗流しながら焼いている。さっき作り始めていた十数枚が焼き上がりつつある。焼きそば風とお好み焼き風をそれぞれ1枚づつ購入。8分前。スーツ姿でとんぺい焼きとビールのビニール袋とキャスターを転がして早足で進むネクタイなしのサラリーマンは、道行く人にはかなり滑稽に見えただろう。
道を渡って高島屋の中へ、そしてエスカレーターを下って地下街へ。地下の人波はさっきより増えている。地下鉄御堂筋線の改札前を素通りして近鉄へ向かう。あと3分。近鉄の改札があった!
改札を通ってまたエスカレーターを下る。難波駅は最近阪神線と結ばれ神戸方面への客も多いのか混雑している。ホームにはすでにアーバンライナーが。先頭から1号車らしい。ボクの席は2号車の一番端だ。前に向かい、1号車側の扉に行って車内に入る。?席がない???ボクはそこでびっくりしたのだが、アーバンライナーの座席は、号車の並びとは逆なのだ。1号車はデラックスカーだからわからないが、レギュラー車の2号車の先頭方向から席番号が始まっているものだと思いこんでいたら、そこはお尻だった。そう、ボクの席は3号車側だったのだ(※2.)。一旦ホームに出て3号車側の扉に向い、車内へ。あった、ボクの席だ、3号車側の壁の前、席との間にキャスターをねじ込んだ時、特急アーバンライナー名古屋行きは静かに走りだした。
※1.金曜の20時に大阪駅からJRで名古屋まで行くとすると、まず大阪駅20:02-[高槻行]-20:06新大阪駅20:17-[のぞみ140号]-21:09名古屋駅となり、所要時間は70分。同じ時間に難波駅から近鉄を利用すると、難波駅20:00-[アーバンライナー20号]-22:09近鉄名古屋駅となり、所要時間は130分。
※2.これは推測だが、近鉄の特急は大阪に向けた形が定型で、だからアーバンライナーであれば名古屋から難波に行く場合、号車と席順が同じ方向になるのだろう。


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