映画録 LA SCONOSCIUTA/題名のない子守唄 '080704
観ていて切なくなって、すぐにでも助けに行ってあげたくなるような映画を観た。
「題名のない子守唄」・・・すでに巨匠といわれて久しいイタリアのジョゼッペ・トルナトーレ監督の作品だ。
『 女は
哀しみを食べて
生きている 』 ・・・チラシの宣伝コピー・・・
なんと云ったらいいのか・・・上手い言葉が浮かばない。この映画は観ていて作り物とは思えない迫力で、人間の怖さと哀しさ、そして微かではあるけれど光を感じることが出来る映画だった。
正直、難解な映画だと思う。ジャンルで分類すればサスペンススリラーになるのかもしれないけど、そう云っちゃうとなんだか矮小化しているように思えてしまう。
この話を順序建てて作ったらたぶん物語にならず、性犯罪のドキュメンタリーになってしまうだろう。繰り返される恐怖と陰惨で耽美なフラッシュバックが、自分も愚かな人間なんだと否応なしに叩きつける(ボクは性行為シーンで興奮する自分を抑えきれなかった!)。
他者を支配したいという欲望が誰にでもあるものなのだろうか?もしそういう立場にいたら自分はどうするだろうか?と。日和った感傷に過ぎないが、こんな哀しい物語が本当にはないことを祈るしかない。そして自分や家族、親しいヒトたちがこんなことを被らないことを願うしかない。暴力による絶対的な支配・・・主人公の人生は、まさに「地獄」・・・絶望でしかなかった。楽しい映画では全くない、しかしこの映画を観たことで何かを得ることが出来たのかもしれないと思わなければやり切れない。ラストシーンが甘いとの評もあるようだが、あれがなかったら辛すぎないか?
この映画の監督は、かのジョゼッペ・トルナトーレ・・・劇映画第二作目にして「ニュー・シネマ・パラダイス」を撮り世界中お映画ファンから名声を浴び、その後「海の上のピアニスト」や「マレーナ」など、数多くの素晴らしい作品を世に送り出している。(オッサンはこれまで題名を挙げたこの三作を観てきた)。どれもそれぞれ趣が違うが、誌的で観るものをその思い出の世界に誘うような、それぞれに魅力的で完成された作品だった。しかし、この「題名のない子守唄」はこれまで以上に、いやこれまでと全く違う衝撃で、ボクの全身をスクリーンに釘付けにした。
ジョゼッペ・トルナトーレという監督は、「かなり凄い」というしかない。マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ、マルコ・ベロッキオと並び次回公開作を待ち望むイタリアの映画監督だ。


コメント